リーガルボイス-1 「社会の総合診療医」として

「社会の総合診療医」として
ー開業のご挨拶に代えてー

内科医の祖父の影響を受け

 小学生のころからプロゴルファーを夢見て、毎日練習に明け暮れていた私は、わき目もふらず、プロゴルファーへの道を一直線。世界ジュニアゴルフ選手権大会で日本代表になったり、昭和の森ジュニアカップゴルフトーナメント高校生の部で優勝したりしましたが、やがてプロの道もきびしいことがわかり、大学卒業間近になってやっと、ではどんな仕事に就こうか、と考えるようになりました。そして選んだのが弁護士への道です。それは、いつも「人のお役に立つ仕事をしなさい」といっていた祖父の影響によります。

 内科の開業医をしていた祖父は、いま考えますと、家庭医であると同時に総合診療医だったと思います。子どもの頃から、病気やけがなど悪いところはすべて診てくれて、とても頼もしい医者でした。
祖父の志を継いで内科医になっている弟が、幼少のころ眉毛の上を切ったときのことです。祖父は、応診鞄を持って駆けつけ、傷口を素早く縫合し、それで出血もすぐ止まり、ほとんど傷になりませんでした。祖父の医者としての腕のすごさに感心し、尊敬もしたものです。

「その人の人生に寄り添う弁護士」を活動理念として

 そんなスーパーマンのように思えた祖父も、自分ではさまざまな病気を診ながら、専門的な診療が必要だと判断すると、後輩の小児科や眼科、耳鼻科などの専門医を紹介していました。いまでいう「総合診療医」だったのです。このことはずっと心に残り、私の弁護士としての目標となっています。

 私は、大学では体育会に所属していたので、本格的に司法試験の勉強に取り組んだのは卒業後となり、2回目の司法試験に総合0.11点差、順位にして2番差で不合格となってしまいました。その悔しさをバネに、最後のチャンスとなる3回目の受験でなんとか合格することができました。

 司法試験に合格したあと、私は司法修習生として前橋地方裁判所に配属され、その折、弁護士法人佐々木法律事務所で研修させていただいたのがご縁で、研修終了後も丸3年間お世話になりました。佐々木法律事務所は地域の中核法律事務所として取り扱う法務範囲も広く、民事事件・刑事事件を問わず、さまざまな事件に対応し、私もいろいろな勉強をする機会に恵まれました。あたかも「総合診療医」の見習いのような経験をさせていただいたわけです。

 そしていま、私は新宿に阿部法律事務所を開業しました。祖父の医師人生から教わったこと、佐々木法律事務所から学んだことを糧に、人のお役に立ち、人に信頼され、そして「その人の人生に寄り添う弁護士」を活動理念として、新たな弁護士活動をスタートさせました。めざすは「社会の総合診療医」です。初志貫徹、がんばります。