リーガルボイス-3続 法律事務所の敷居は高い?

続 法律事務所の敷居は高い?

依頼者との信頼関係が第一

 昔は紹介者のいない依頼者はお断り(一見さんお断り)の弁護士が多かったと聞きます。
たしかに弁護士の仕事は責任が伴いますし、そのためには依頼者との信頼関係が重要になりますから、弁護士が予め依頼者の身元をしっかり把握しておくことには一理あります。
しかし、依頼者のことを信用しない弁護士、つまり依頼者性悪説の弁護士に依頼したいと思いますか? 私が依頼者だったら、その弁護士には頼みたくありません。

 私は受任する場合、依頼者のことを全面的に信頼することを前提としています。依頼者から全幅の信頼を得るためには、まず弁護士が依頼者を信用しなければならない。私はそのように考えています。ただし、嘘だらけの話をされてしまうと、お互いの信頼関係を築くことは不可能です。自分にとって不利だと思う内容も正直に話してください。社会正義に反しない範囲で、ベストな解決方法に知恵を絞ります。弁護士とは本来、そういうものです。

弁護士は上から目線?

 残念ながら、依頼者に対して上から目線の弁護士は現在も多いと思います。
 私は、依頼者と同じ高さ以下の目線で話を聞きます。その目線で話を聞かなければ、依頼者の抱えている問題の本質は見えてきませんし、逆に、依頼者には私の人となりを分かってもらえません。
 ときには、私も厳しいことを言います。でもそれは、決して上から目線ではなく、依頼者にとってベストな解決方法に導くプロセスにすぎません。

弁護士費用の基準は?

 いまの弁護士は、受任にあたっては、報酬契約書の作成が義務付けられていますし、報酬の内容も当然「明朗会計」でなければいけません。しかし、未だに報酬体系が分かりにくいのは否めません。

 弁護士費用は、大別して着手金と報酬金に分かれます。着手金は、事件の着手前にいただく費用のことです。「なんだよ、先払いかよ」と思われるかもしれませんが、弁護士は、着手したら辞任しない限り最後までやり遂げなればならないので、その職責は重いのです。業務を進めていく過程で、着手金と比べて仕事の量が膨大だったとしても、依頼者に追加分を要求するわけにはいきません。事件の見通しを読み誤った弁護士が悪いのです。

 報酬金は、得られた成果(経済的利益)に応じて事件解決後にいただく費用です。これについては、もめるケースが多いようです。経済的利益は実際に回収できた金額なのか、相手方が提示した金額をアップさせたその差額なのか、そもそも金銭を目的としない事件だったらどうするのか、などなど…。
 私の場合は、報酬金の中身をご理解いただくまでは報酬契約書を交わしません。報酬金が明確になるように、着手金の額と調整することも考えます。いずれにしましても、弁護士費用は、納得がいくまで事前に法律事務所と話し合うことが大切です。